たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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アルスター・スコットランド語

私もこの間まで知らなかったんですが、スコットランド語 (Scots) っていうのはアイルランド語 (Irish) の親戚ではなくて英語 (English) の親戚だそうです。つまり、ケルト語派じゃなくてゲルマン語派だということ。

もちろん、スコットランドでもゲール語を話す地域はあって、それはスコットランド・ゲール語 (Scottish Gaelic) というそうです。スコットランド英語 (Scottish English) という言葉もあって、これは独立した言語ではなくて英語の方言のひとつとなります。

ああ、ややこしい。

北アイルランドにはスコットランドから移住してきた人がたくさん住んでいます。これも知らなかったんだけど、スコットランド語を話す人が今でもアイルランド島の北の方には 3 万人ぐらい住んでいるらしい。この人たちが話すスコットランド語をアルスター・スコットランド語 (Ulster Scots) と言います。これはスコットランド語の方言です。

アルスターっていうのは、アイルランドの北の方にある地方の名前で 9 つの県で構成されていて、そのうち6つがいわゆる北アイルランドを構成しています。

下の図は、アイルランド島の北半分の地図ですけど、アルスター・スコットランド語の話者が住んでいる地域は水色で示されています。これ見るとドネゴール州にも水色の部分があるから、アイルランド共和国にも話者がいるっていうことですね。

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さて、アルスター・スコットランド語に関する番組を昨日、TG4っっていうテレビ局でやっていました。

アイルランドは、アイルランド語と英語が公用語ですけど、ほとんどの人は英語をしゃべります。でも、アイルランド語は国民のアイデンティティにかかわるってことで、その振興に政府も力を入れていて、アイルランド語の番組ばかり流すテレビ・チャンネルもあります。それがTG4です。

ベルファスト出身のアイルランド語のネイティブ・スピーカーが、アルスター・スコットランド語を話す地域をいくつか訪ね、その言語の過去、現在、未来を探って理解を深めていくという構成です。

アイルランド語はアイルランド人の心の拠り所とはいえ、話者の数的にいえばマイノリティ言語です。その話者がさらにマイノリティ言語の話者の話を聞きに行くという、言語とか言葉とか言語とアイデンティティの関係とかに興味がある人にはとても面白い番組でした。

また、かなりセンシティブな題材だと思うのですが、よく取り組んだなとも思いました (北アイルランドでのプロテスタントのカソリックの対立についてはご存じと思います)。

番組の進行はもちろんアイルランド語です (英語の字幕付き)。

この番組を見たのは、その日の朝の新聞に、番組の紹介を兼ねてアルスター・スコットランド語に関する記事が載ってたからです。

この新聞記事にはアルスター・スコットランド語復興運動のネガティブな側面にも触れられてました。こういう運動には当然政治的な側面もあるし、補助金が出たりもするわけですね。実際のところ英語話者が聞けばある程度意味はわかるらしいので、「補助金目当てだろ」みたいな言い方もされるらしい。また、アルスター・スコットランド語の振興を担当する官公庁も作られたわけですが、そこの無駄遣いがひどいとか。まあ、これはどこにでもある話ですが。

しかし、そういう政治的に利用しようとする人がいる一方で、自分たちの言葉 (そして文化や伝統) を次世代に継承したいという純粋な動機で草の根で活動している人たちもいっぱいいるわけで、それはアイルランド語を政治的に利用しようとする人ももちろんいるし、だからといって純粋な動機に基づいてがんばってる人の努力がないものにされるわけではない、ってのと一緒なことであります。