たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ワインディング・ステアっていう本屋とマッチ・プログラム

ワインディング・ステア (The Winding Stair) は、オコネル橋の近く、リフィー川の左岸にある本屋さんです。一見すると古本屋さんのような佇まいで、実際に古本も売っているんですが、新刊書店でもあります。

 

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だけど、話題のベストセラーが平積みになっているわけではなく、ペーパーバックにしてもハードカバーにしても、なるべく網羅的に品揃えしようという意思がまったく感じられない、一風変わったお店です。

 

本棚は、廃校になった小学校の図書館からまとめて安く買い受けてきましたというような、木製のシンプルな年代物です。「この棚はWonky なので気をつけてね」と張り紙してあります。Wonky って、調べたら「グラグラする」という意味でした。たしかにちょっと押すだけでゆらゆらしそうで危ういです。

 

アイルランド関係の本、子供向けの本などが幾分充実しているような気もしますが、「しょーもない本売るのは正直なところタルいっすよねー。だから売りたい本だけ売ってます」と棚が言ってるようで、やる気あるんだかないんだかわからないっす。

 

店内には、蓄音機と呼ぶには新しく、ターンテーブルと呼ぶには古すぎるレコードプレイヤーがあって、クラシック音楽を薄く流しています。窓際には古い革張りのソファーが置いてあって、ちょっと勇気のある人は、そこに座って本をパラパラやりながら品定めすることもできます。

 

この店のウィンドウに飾られていて、ずっと気になっていた本があったんですね。「Match Day」っていう大判の本なんだけど、サッカーのマッチ・プログラムの表紙を集めた本です。マッチ・プログラムっていうのは、試合に行くと現地で買えるプログラムです。イギリスで発行された本で、掲載されているのはすべてイギリス (主にイングランド) のチームのものです。

 

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お店の人に頼んで取ってもらって、中を見てみると、解説的なテキストがもっとあるのかと思ったら、ほんとに表紙の写真ばかりなんですね。圧巻です。お店の人は美術館の学芸員みたいな小柄な30 代前半の男の人だったんだけど、その人が「フットボールに興味があるの、それともグラフィックス?」と聞いてきました。まさしく美術館で小グループの観光客に絵の説明をするときに使うような声です。私はここで「フットボール」と答えるとガサツな男と思われるんじゃないかという恐怖が一瞬頭をよぎったんですけど、正直に答えました。そうすると、お店の人は、「グラフィック関係の人もこういうのに興味あるからねー」と穏やかな声で言いました。特にがっかりした様子でもなかったのでよかったです。この人は、ハンドメイドの会話をお客さんと交わすことを心がけてるみたいですね。

 

本の中はこんな感じですね。

 

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こういうプログラムの表紙は、2 色刷り (チームカラーと黒) が定番でしょうか。上の写真の右下にあるコヴェントリーのデザインはかっこいいですね。ブルーノートがリリースしたジャズ・アルバムのジャケットのようです。

 

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上の写真は、私の本棚にあったアイルランドのマッチ・プログラムです。右の 2 冊が代表戦、左の 2 冊がクラブチームのもの。全部 A4 サイズです。ただ、クラブチームのものは、片方がカップ線の決勝戦、もう一方が UEFA カップの試合ということで、フルカラーの表紙という点でも、サイズの点でも、特別仕様だと思います。普通は、A5 サイズで 2 色刷りです。少なくとも私が行くシェルボーン FC のプログラムは。そういうプログラムも持ってたはずなんだけど、引越しのときに全部捨ててしまったみたいで見つかりませんでした。

 

あ、それから、この本屋の 2 階は、いい感じに年季の入ったカフェだったんです。木のテーブルが置いてあって、マグカップも飾り気のないような、カジュアルでにぎやかなお店でした。少なくとも私が最後に行った 2004 年には。

 

Winding Stair っていうのは「曲がりくねった階段」っていう意味になりますが、実際に本屋の奥に曲がりくねった階段があって、そこからカフェに上れたと記憶しています。

 

でも、その階段は今はなくなってしまって、2 階には外からしかアクセスできなくなってたんだけど、お茶でも飲もうと思って上がっていったら、「ごめんなさい。フルレストランなのでお茶だけはだめなんです」と言われちゃいました。3 コースのランチで 34.99 ユーロだったかな。けっこう格の高いレストランになっちゃったんだなー、っていうか、私には敷居の高い場所になってしまって残念に思いました。