アイルランドにはタイトー (Tayto) っていうポテトチップス (アイルランドではポテチのことをクリスプス (Crisps) と呼びます) があります。初めて見たときは、タイトーっていう日本のゲームメーカーもあるから、日本のお菓子が進出してるのかと思いましたが、もちろんアイルランドのブランドです。
タイトーのクリスプスって、誰もが子供の頃から慣れ親しんだ味ですし、ほぼアイルランド国内でしか出回っていないこともあって、アイルランド人にとっては心の故郷のようなスナックです。海外に住むアイルランド人がタイトーのロゴを目にすると、上野駅で「ふるさとの訛りなつかし。。。」と詠んだ石川啄木のような気持ちになるのだと推測します。
実際に、日本にコネクションにある複数のアイルランド人がタイトーの日本への輸入を夢見たことがあると証言するのを私は聞きました。日本全国のアイリッシュ・パブに卸す目的で、実際にコンテナで輸入した人もいるそうです。
あと、びっくりしたのは、食パンにポテチをはさんで食べる人がかなりいることです。このポテチ・サンドの具はもちろんタイトーのものでなければならないそうです。
さて、ここでミスター・タイトー (Mr. Tayto) をご紹介します。ミスター・タイトーは、タイトー・クリスプスのマスコットで、赤いジャケットを着たポテトさんです。日本でお菓子のマスコットというとカールおじさんが思い浮かびますけど、国民的アイコンという意味ではさすがのカールおじさんもミスター・タイトーの足元にも及びません。
昨日のことですが、ミスター・タイトーの自叙伝が発売されているのを本屋で見かけたのでさっそく買ってきました。本を買うと、おまけでタイトーのポテチが3つもらえたので嬉しかったです。
自叙伝っていってももちろんジョークで、ミスター・タイトーのフィクショナルな自分語りの形式をとりながら、タイトーの逸話やうんちくがつづられていくという宣伝本です。宣伝本なんだったらタダで配れよ、って突っ込みも入れたくなりますが、本屋で実際に売ることで、自叙伝のパロディとして、より完成したものに近付けたかったのだと思います。
ちょっと読んでみたんですが、かなり面白いんですよ。日本でこういう企画をやっちゃうと、子供にも読めるようにという配慮からか、かなり温い文章になることが多いんじゃないでしょうか。でも、この本は手加減なし、容赦なしですわ。ポテトをお題にしたクレバーな言い回しとか、アイルランドならではの表現の多用とか、プロの文筆家が大人を楽しませるために力を惜しまず書いてくれてるんです。やっぱりパロディーは本気で取り組まないと面白くないですね。
ミスター・タイトーのことをもっと知りたい方はこちら (http://www.mrtayto.ie/) まで。壁紙なんかもダウンロードできますよ。
(ジェームス・ボンドに扮したつもりのミスター・タイトー)
(ブルース・スプリングスティーンを気取るミスター・タイトー)
2009/11/16 追記: この本の屋外広告が出てたので写真を撮ってきました。