たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

JAP大安売り

前に北アイルランドに旅行に行ったときに、アーマー (Armagh) っていう街だと思ったんだけど、「JAP」っていう名前の食器とか売ってる店があって、その店がセールをやってた。それで、JAP On Sale だかなんだか、「JAP大安売り」みたいな赤地でゴシック体の文字が店内いたるところに貼り出されていて、友だちと大笑いした。

 

写真撮っとけばよかったと思うんだけど、その頃はカメラ持ち歩く習慣がなかったので。

 

Japっていうのは北米だと差別用語で使っちゃいけない言葉なんだけど、ヨーロッパでは単にJapaneseの略みたいな感じで使われることも多いです。省略形だからていねいな場では使われないし、面と向かって言われることはないですけど。

 

たとえば、アイルランドは日本と同じ右ハンドルだから、中古車が日本からいっぱい輸入されています。そういう車はJap Used Carなどと呼ばれています。たとえば、こんな感じ。

 

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最初に出てきたアーマーのお店はJapaneseとは何の関係もなくて、なんかの頭文字を組み合わせたんだと思います。

 

アイルランドのテレビ番組で「Late Late Show」っていうのがあります。この番組は毎週金曜日に放映されているアイルランドのトーク番組で、今年で47年目を迎えた国民的な番組です。日本でこれに匹敵する番組がちょっと思いつかないんだけど、アメリカだとLate Show with David Lettermanぐらいの影響力がある番組です。

 

7年ほど前ですが、「ジャッカス」っていう映画のプロモーションで出演者たちが番組にゲストで出演したことがありました。アメリカの映画ですので彼らはアメリカ人です。「ジャッカス」はご存じのように一般人にドッキリを仕掛けたりする映画なんですが、その一部を日本で撮影してたんです。

 

で、当時司会を務めていたパット・ケニー (Pat Kenny) という人 (日本でいえば徳光さんとか久米さんあたりの有名度) が、「それで、Jap たちはどういう反応を示したの?」ってゲストのみなさんに聞いたんです。

 

パットさんはアイルランド人ですから、Japという言葉を使うのに悪意はなかったのですが、ゲストの方はアメリカ人ですからビックリしちゃったわけです。「全国放送のテレビでJapなんて使っていいのか???」というわけです。場は相当微妙な雰囲気になったそうです。

 

私自身はオンエアを見てなかったんですが、その後しばらく、ダブリンの日本人社会で話題になったりして、怒ってる人もいました。Japはヨーロッパでは単に省略形として使われるという事実はあまり知られていなかったりもするので。

 

その翌日だったかな、ラジオのフォーン・インの番組 (リスナーが電話して意見をいったりする番組) でも取り上げられてて、その番組では日本人のリスナーからの電話を呼び掛けてたんだけど、日本人からは誰もかかってきませんでした。

 

私は、会社の帰りに車の中で番組の最後だけ聞いただけなんだけど、最初から聞いてたら掛けてたかな。ちょっとわからない。

 

でも、いちおう「Late Late Show」のプロデューサーあてに手紙は出しておきました。パットさんに悪意がないのはわかっているけど、アメリカ人のゲストの前でJapという言葉を使うのはプロフェッショナルとしてまずい決断だった、というような内容にしたと記憶しています。まあ、Japっていう言葉を差別用語だと考える日本人が多いという事実を知ってもらうことも、不必要な軋轢を避ける上で有用なことだと思ったし。

 

2009/12/8追記: 今日、アイルランドのスラングの辞典を見てたら、jap っていうのはアルスター地方 (北アイルランドを含む地方) で「splash」(水しぶき) の意味で使われるとのこと、ジャップジャップっていうオノマトペだって。JAP 大安売りの店はアルスター地方にある店だから、もしかしたら店の名前はここから付けたのかもしれない。