ダブリンから南に1時間半ほど車で走ったところにウェックスフォード (Wexford) の町はあります。ウェックスフォード県の県庁所在地です。
調べてみたら、人口は2万人弱です。もうちょっと南にある、名前のよく似たウォーターフォード (Waterford) の陰に隠れた地味な街です。この街の名物は、、、えーと、出てこない。出てこないのでウィキペディアで調べてみても、あまり要領を得ませんでした。近くにロスレアっていうフェリーの発着港があるくらいかな。
2年前になりますが、この街にサッカークラブが誕生し、ウェックスフォードのクラブとして初めてリーグ・オブ・アイルランド (アイルランドのJリーグみたいなもの) に参加しました。ウェックスフォード・ユース (Wexford Youths) という名前です。
このクラブを創設したのは、ミック・ウォレスさんという人です。ウォレスさんは、ウォレスという名前の大きな建設会社の社長さんで、もちろん大金持ちです。たぶん、道路工事の分野に強い会社だと思う。アイルランドに住んでる方は、Wallace という文字とサッカーボールを組み合わせたロゴをどっかで見たことがある人も多いと思います。こんな感じ↓。
ウォレスさんは、とにかくサッカーとイタリアが好きなんです。ミレニアム・ブリッジを北にわたったところにイタリアン・クォーターってありますよね。イタリア料理店なんかが集まっているところ。あそこを開発したのがウォレスさんです。なにしろイタリア好きなんで。上の写真も、イタリアン・クォーターの入り口で撮ったものです。
でまあ、サッカー好きの方も高じまして、自分の出身地であるウェックスフォードにクラブを作り、スタジアムも資金を出して建設し、それどころかチームの監督にまで就任したのです。
監督はプロに任せればいいのになー、と思っていたのですが、クラブ設立以前にも、ウェックスフォードのユース代表の監督は何年にもわたってやってたとのこと。選手としてはたいしたことはなかった、とおっしゃってますが。本職のコーチや顧問も雇っています。ちなみに、Wexford Youths の Youths は、彼の大好きなイタリアのユヴェントス (っていうサッカークラブ) を英訳したものです。
昨日の夜ですが、Wexford Youths とイングランドのプレミアに所属するウルヴァハンプトン・ワンダラーズ (Wolverhampton Wanderers) がウェックスフォードで親善試合を行いました。
ウェックスフォードのサッカーファンにとっては、イングランドのプレミアのチームが地元のチームと試合するのを見るのはたいへん幸せなことだったと思います。特に、ウルヴァハンプトンにはウェックスフォード出身でアイルランド代表でもあるケビン・ドイル選手も所属していますので。
人はみんな、自分の生まれた場所や自分が育った場所に蓄積されてたリソースを使って成長すると思います。だから、自分が持ってるリソースを使って、ちょっとずつそのコミュニティーに返していくのは大切なことと思います。ウォレスさんの場合はそれがお金でありサッカーに対する情熱であったわけですね。
ウルヴァハンプトンの現在の監督は元アイルランド代表監督のミック・マッカーシーさんです。マッカーシーさん「私たちのクラブはアイルランド出身の選手とともにいくつかの成功を収めてきました。こうした選手を育てたクラブに何かを返すのはとても重要なことです」
もちろんウルヴァハンプトンにはギャラは出てますが、お金出せば来てくれるってわけでもありませんから。シーズン中だし。
試合は2対1でウルヴァハンプトンが勝ちました。
この試合、観に行こうかと思ったんだけど、レンタカー借りるのはめんどくさいし、今日の朝、用事があったから泊るわけにもいかないし。自分の車があったら行ったと思うんだけど。やっぱり車、買おうかな。