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岡田監督、インタビュー拒否

水曜日のトーゴ戦の後、中継していたTBSのインタビューを岡田監督が拒否しました。試合後のインタビューは契約に明記されているそうですが、以前にTBSの番組でトラブルがあったことが拒否の原因とか。原因となった番組は「スーパーサッカー」という番組で、このインタビューが問題だったらしい。

 

 

岡田監督は、この番組のどこがいけなかったのかについて具体的には発言していません。しかし、共同通信によれば、日本サッカー協会の松田薫二広報部長は「選手選考は監督の専任事項という確固たる信念があり、それを監督に当てたこと」が、監督の不審を招いた、と説明したそうです。具体的にはフランスW杯のときにカズを外した理由を質問したことだそうです。

 

この松田部長の発言はおかしいです。「選手選考は監督の専任事項」というのは当然ですが、それに関して記者や評論家が質問することが失礼というのは理解できません。代表監督にはメディアを通じてパブリック・リレーションする義務があるでしょう。おれが決めたんだから、君らは黙って見てろよ、では通りません。

 

アイルランドの代表監督はイタリア人のジョバンニ・トラパットーニ (Giovanni Trapattoni) という人です。いろいろなクラブチームで結果を出してきた名将で、日本のサッカーファンには宮本と三都主がいたときのレッドブル・ザルツブルグの監督として有名かもしれません。アイルランドの現在の弱点はMFです。アンディー・リードっていうテクニックのあるMFがいるんですが、以前、彼がトラパットーニ監督に暴言を吐いただか、行き違いだかがあったらしくて、一貫して彼は代表に呼ばれないんです。ほとんどの評論家はリードを呼べばいいのにと思ってる。でも呼ばない。

 

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(トラパットーニ監督)
先週土曜日のイタリア戦の後、テレビのインタビュアーがまたリードの召集について尋ねました。これはまあ、視聴者も知りたいことですから、嫌がられるのをわかっていても、聞くのはインタビュアーの仕事です。トラパットーニはその質問に耳を疑うような表情を見せた後、笑いながらですが「トニー (インタビュアーの名前)、アンディー・リード? またアンディー・リードの話なの?」と大声を出しました。でもそのあと、なんだか説明を加えてました。サッカーの監督がよくやるように、特にはっきりとした回答はしないんだけど、わかったようなわからないような説明ですが。もちろん、次の試合の後でインタビューを拒否するということもありませんでした。

 

もちろん、リード選手を選出するかどうは現在進行形の話ですから、状況が変化するたびに質問するのはありと言えます。三浦選手を外した理由を聞くのも、何でいまさら感がありますが、岡田監督も一応答えてますし、監督が不快に思ったのはその質問自体ではないのではないでしょうか。

 

私は、岡田監督が不快に思ったのは、演出の方法だと思います。「サポーター100人に聞いた」とありますが、映像を見れば、夜の盛り場に出向いてサッカーが好きかどうかもわからない一般の人にコメントを求めただけです。こんな演出が必要だったのでしょうか。

 

この番組でインタビュアーを務めている小倉隆史さんは、怪我で才能を開花させられませんでしたが、若いころは将来の日本代表のエース間違いなしと言われた人です。なぜ彼の責任でインタビューすることが許されなかったのか。なんだかよくわからない素人のアンケート結果をその質問が有効であることの裏付けに使うという演出がなんで必要だったのか。小倉さんがサッカーの専門家として必要だと思う質問をするのではいけなかったのか。この演出では、小倉さんは単なるメッセンジャー、しかも素人の意見を伝えるメッセンジャーにしかすぎません。岡田監督はプロの監督として質問に答える用意があったと思います。それなのに、プロのインタビュアーとしての責任を負うつもりもない人になんでインタビューされないといけないのか。それは、不快になって当然だと思います。言葉は悪いですが、この番組での小倉さんの役割はガキの使いでしかありません。

 

本来、プロの人からその専門分野の話を聞くのは、それだけで面白いものだと思います。たとえば、トルシエ監督やオシム監督のインタビューはとても面白かったです。彼らにはプロとしての切り口と哲学があり、それを言葉に変換する労力を惜しまず、インタビューに答えてくれました。ジーコ監督は。。。。うーん、ちょっとわかりません。日本人でも、鳥栖の岸野監督や新潟の鈴木監督のインタビューは面白いと思います。Jリーグの試合後のインタビューはあまり見たことないので、ほかに面白い人もいると思いますが。

 

その点、岡田監督は。。。岡田監督のインタビューは正直つまらないです。まず、しゃべり方。何か伝えようとする意志が感じられないです。もう少し、聞いている人を説得する意志を見せた方がよろしいのでは。また、話す内容なんですが、上げ足を取られないためかしりませんが、自分の考えや情報をなるべく出さないようにしているようにしか見えない。「ベスト4」に関する質問にしても、「とにかく私たちは信じてるから」としか言わない。いやさすがにもうちょっと何かしゃべれるでしょう (たとえば、http://blogs.yahoo.co.jp/tarascoffeeshop/21684101.html に書いたようなこととか)。カズの質問でも、「おれはチームが勝つことしか考えてないから」と当然のことしか言わない。それだったら、「これまで何回もしゃべってるからここではその質問には答えない」とした方が潔かったのでは。

 

サッカーの監督の仕事は、サッカーの技術的なことはもちろんですが、インタビューに答えてパブリック・リレーションの責任を負うことも契約に入っているはずです。インタビューを面倒くさい余計な仕事と考えずに、世論を味方につける機会と考え、もうすこしインタビューに受け答えするスキルみたいなものも岡田監督は真剣に考えてみてはどうでしょうか。すみません。偉そうで。

 

岡田監督があまりしゃべりたがらないので、TBSは余計な演出を噛ませたのかもしれません。いや、それにしてもあの演出は不必要です。小倉さんが、小倉さんの責任で、率直に岡田監督に質問をぶつけた方がよかったのではないかと思います。岡田監督がしゃべらないのであれば、なだめたり脅したり、理詰めでいったり、情に訴えたりして、岡田監督から話を引き出せばいいのです。それがインタビュアーの仕事です。

 

なお、TBSは「(騒動の)火種は弊社の番組。失礼に当たる(内容があった)のは否めない」とし、必要ならば岡田監督に直接謝罪する意向を示したそうです。まさかとは思いますが、日本サッカー協会の松田部長の発言に応じて、「選手選考は監督の専任事項という確固たる信念があり、それを監督に当てたこと」には謝罪しないでください。ここを謝罪しちゃうと、選手選考について質問することがタブーとなり、日本のサッカー評論は大きな打撃を受けます。評論が大きな打撃を受けるということは、日本のサッカーが大きな打撃を受けるということです。謝罪するのは余計な演出を加えたことです。プロの話を聞きたいのなら、インタビュアーにプロの覚悟を持たせてください。