たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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スティーブン・ハントの憤り

スティーブン・ハント (Stephen Hunt) さんはアイルランド代表のサッカー選手です。普段は、英プレミアリーグのハル・シティーでプレイしています。左サイドのウインガーで、代表ではセルティックのエイダン・マギーディーがライバルです。日本のサッカーファンの間では、チェルシーのGKチェフと試合中に接触して頭蓋骨陥没の重傷を負わせた選手として有名かもしれません。プロの選手としては小さくて細い選手です。そして、小さくて細い選手にありがちなように、向こうっ気は相当強いです。彼のインタビューが昨日の新聞に載っていたのですが、彼が記者会見でしゃべる内容も、彼のプレイと同様に、直接的で、あけすけで、情熱的で、正直です。

 

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「人が何と言おうが、イタリアに対してチームは良くやった。メディアの 2 人か 3 人が何か言っているが、それは何か言いたいがために言っているだけだ。悪い警官の役割を演じてあえていわせてもらえば、その発言は一体何のためだ? RTE (日本の NHK みたいな公共放送、代表試合の中継をしている) でのギャラを上げてもらうためなのか? まったく意味が通らない。何でそんなことを言うのか? 金を儲けるためか、それとも粋がりたいのか。ばかな鼠が。」

 

これ、公式な記者会見での発言です。ハント選手がなんでこんなに怒っているかといいますとですね、土曜日のイタリア戦の中継において、RTE のスタジオ解説者の一人のエイモン・ダンフィーさんが、いやこのダンフィーさんも熱くてエピソードの多い人なんですが、とにかくダンフィーさんが試合後の解説で「Shameful」(恥ずかしい)という言葉でチームのパフォーマンスを非難したんです。確かに最後の数分間をボール保持できなくて同点にされたのはあまりプロフェッショナルなプレイではなかったかもしれませんが、世界王者のイタリア相手に引き分けで、プレイオフ進出も決めたのに「Shameful」と言われたのでは選手も立つ瀬がありません。

 

ハントさんの怒りは止みません。「聞いてくれ。前にも言ったことだが、イタリアはいつも予選を勝ち抜く。前回のワールドカップも優勝した。過去 20 年間イタリアは力を発揮してきた。それは歴史が証明している。私たちのイタリア戦でのパフォーマンスは素晴らしかったし、賞賛すべきものを賞賛すればよい」

 

「パフォーマンスが悪ければ、私がまっさきにそう言うだろう。それから評論家はテレビで好きなことを言えばよい。人と違うことを言いたいだけで、何か言うのはやめてほしい。メディアの何人かはいろいろ書くけれどもここ (練習場や記者会見場) に現れもしない。それが真実だ。彼らは何がしたいのか? 何を成し遂げようとしてるのか? 新聞の売り上げを増やしたり、視聴率を上げたりすることか? ばかばかしい」

 

インタビュアー: 「誰か特定のジャーナリストが選手たちを困惑させたのですか?」

 

「3 人か 4 人。名前を挙げることはしない。名前を出したら彼らがより満足するだけだから。もし彼らが何かを書きたいのなら…. 私のプレイがひどかったなら、私は自分でひどかったと言うだろう。まあまあだったら、まあまあだったと自分で言う。しかし、何か言いたいだけのために物を言うのはやめてほしい。馬鹿らしい」

 

「選手たちは何が起こっているかわかっている。選手には家族がいて、家族は試合を見ている。家族はどこから楽しみを得るのか? 特にダンフィー。彼はもうちょっと利口になってもいいだろう。彼は痩せた鼠のようなものだ」

 

批評家は批評するのが仕事ですから、批評すればいいと思います。ただし、批評家の仕事も当然批評されるべきで、批評対象のサッカー選手から批評され返すこともあるでしょう。ほとんどの選手はよく言えば大人、悪く言えば利口に立ち回って、これほど大げさに事を構えることはないと思いますが、ただチームに 1 人はハント選手のようなキャラの人がいると助かりますね。5 人ぐらいいるとうざいですが。

 

ハント選手はまた、プレイオフの組み分けで、FIFA ランキング上位チームがシードされることになった点についても、「そんなルールは最初から決めておいてくれ」と苦言を呈しています。これももっともです。アイルランドはシードされない方のグループに入っちゃうんで。

 

(写真は 2009/10/13 日付 The Irish Times の 21 面)