アイルランドの総選挙の結果がでました。最も多くの議席を獲得したのはフィアナフォイル(FF)の48議席。シンフェインの39議席、フィネゲール(FG)の38議席と続きます。労働党(Lab)は復調して11議席、社会民主主義党 (SD) は躍進の11議席。緑の党は大惨敗の1議席です。
FFとFGが連立を組むのはほぼ確定。FFもFGもSFと連立を組むには大きな抵抗感があるので。しかしFFとFGだけでは過半数にわずかに足りないので連立のパートナーをもう1つ見つける必要があります。その相手は労働党かSD、もしくは無所属の議員を何人か入れるという手もあります。
SFは左派連合を呼びかけるとしていますが現実的には過半数を取るのは無理。2021年7月から今年の5月までの世論調査ではSFは一貫してトップの座を保ち、総選挙後に政権与党となるのは確実と見られていました。今年6月の地方選挙では思ったほど議席数が伸びずに落胆の選挙結果。今回の総選挙ではけっこう持ちなおしたのでは、という評価もあるようです。
逆にFFは2020年の総選挙以降、先月下旬まで一度も世論調査で一位になれなかったのに最後にまくって最大議席を獲得しました。今年6月から支持率トップを誇ってきたFGは踏ん張ることができずに残念な結果となりました。
緑の党の敗北についてはちょっとかわいそうなところもあり、脱炭素などの環境政策の不満を全部押し付けられた形となりました。EUで規定された加盟国の義務を果たそうとしたにすぎないのですが。
しかしなんといっても話題をさらったのはギャングのボスのジェリー・ハッチです。既存の政党にそっぽを向いた(もしくは向かれた)人たちが可視化された形です。特定の地域の人々にとっては彼はもうフォーク・ヒーローのような扱いのようです。映画監督のジム・シェリダンが彼のドキュメンタリーを撮っているそうですね。シェリダンもハッチと同じダブリン・ノース・インナー・シティの出身です。