たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

最近手に入れたバッジ

まずこちらはレイヴァリ夫人のバッジです。1ユーロ。

 

 

彼女はベルファスト生まれの人物画家ジョン・レイヴァリの奥さんでアイルランドアメリカ人。フルネームはヘイゼル・レイヴァリです。この肖像画はもちろん夫のジョンによって描かれていますが、おそらくアイルランド史上最も多く印刷された肖像画ではないかと思われます。というのもこの絵は長くアイルランドの紙幣に使われていたのです。

 

 

1922年に建国されたアイルランド自由国は新しい紙幣を発行するにあたって、その肖像画として使用するためにキャスリン・ニ・フーリハンの絵を描いてほしいとジョン・レイヴァリに依頼しました。キャスリン・ニ・フーリハンとは、文学や絵画でアイルランドナショナリズムの象徴として描かれることの多い神話を思わせるような想像上の女性で、アイルランドという国を擬人化する際にもよく用いられます。たとえば、WBイエーツはグレゴリー夫人とともにその名も『キャスリン・ニ・フーリハン』という愛国精神にあふれた劇の台本を書いています。

 

そうして出来上がったのがこの肖像画です。彼女の姿を印刷した紙幣は1928年から1970年代まで使用され、その後もユーロに置き換えられるまで紙幣の透かしに用いられました。肖像画のタイトルは『Portrait of Lady Lavery as Kathleen Ni Houlihan』で、アイルランド国立美術館に展示されています。

 

次はダブリンの海賊ラジオ局だった Q102 のバッジ。おそらく1980年代のもの。

 

 

海賊放送局なんていうと日本だとすぐに摘発されそうですが、アイルランドでは特に80年代に隆盛を誇っていたそうです。大手の広告代理店も支援しており (ということは、ちゃんとした企業のスポンサーもついていたはず)、聴取率が公共放送 RTE を上回るものもあったといいます。1988年になって、ほとんどの海賊放送局の協力を得て新しい法律が制定されます。これによりアイルランドのラジオ業界は合法的な独立系地方放送局の時代に移行することになりました。この法律では、海賊放送局への広告出稿に厳しい罰則が課されることになったので、1980年代がアイルランドの海賊放送局の全盛期ということになります。

 

非合法なものがあまりに大きくなりすぎ、取り潰すと混乱が生じるので法律の中に取り込んでしまおうというのは、大麻Spotify や日本有線の合法化のプロセスを思わせるものがあります。

 

21世紀に入って多くの資金やリソースを与えられた新しい規制当局が設立されます。そして、2003年に当局による一斉摘発を受けてアイルランドの海賊放送は壊滅することとなりました。[参考][参考]

 

実は現在もダブリンに Diblin's Q102 というラジオ局がありますが、これはかつて存在した海賊ラジオ局とは関係ありません。35歳以上向けの音楽局として2000年に開局した Lite FM が 2004 年に UTV に買収されます。このときに実施されたアンケートで 35 歳以上の人に Q102 という名前の浸透度が高かったことから、名称が変更されたものです。

 

さて、次は北アイルランドで輸血を15回すると NIBTS (Northern Ireland Blood Transfusion Service) からもらえるバッジです。

 

 

なんでペリカンかということなんですけど、母親のペリカンは自分の胸をつついて血を流し、それを子供に飲ませて育てるという言い伝えがあるからだそうです。南のアイルランド献血サービス (Irish Blood Transfusion Service) のロゴもペリカンを図案化したものです。[参考]

 

 

Q102 と献血のバッジはケーペル・ストリートの南側の入り口付近のヴィンテージ・ショップで買ったものです。各3ユーロぐらい。ほかのものとまとめてかったので値段はだいたいです。

 

 

 

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