たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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賛否両論を巻き起こしたAldiのクリスマスCM

クリスマス時期になりますと、特にスーパーマーケットなどの小売りの会社は凝ったCMを制作して私たち消費者を楽しませてくれます。

 

今回いろいろと話題になっているのはドイツの安売りスーパーマーケット、Aldi (アルディ) のクリスマス広告です。

 

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主人公はニンジン一家のいたずら好きな男の子、ケヴィンです。家族はケヴィンがW杯に夢中になっているうちに、彼を置いたままパリ旅行に出かけてしまいます。そこへ泥棒がやってきます。まあ泥棒と思ったのはケヴィンだけで、実はサンタだったのかもしれませんが。とにかくケヴィンは泥棒を退治するために知恵を働かせながら孤軍奮闘します。賢明な方はお気づきと思いますが、はい、これは映画『ホーム・アローン』のパロディーですね。

 

問題になっているのは、ケヴィンが2階からジップラインで脱出するシーン。外にあった雪だるまの下腹部にケヴィン君が突き刺さります。まあ、ニンジンは普通は雪だるまの鼻として使われるわけですけど、ちょっと微妙な位置に突き刺さってしまったというわけです。

 

ナレーションも、「He made a hasty exist to become snowman’s … nose?」と入ります。「急いで脱出して、雪だるまの、えーと、鼻になった?」と微妙な言い回し。苦情を言っている人は、子供向けのCMなのに子供に見せられない下ネタだ、というわけです。

 

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アイリッシュ・インデペンデントの記事が出た11月18日の時点で、アイルランド広告基準局(ASAI)に寄せられた苦情は18件。記事にはASAIはこの件について検討中となっていますが、インターネットを検索してもその後の続報は見つかりませんでした。続報がないということは放送中止にはならなかったのではないかと思います。

 

さて、その一方でこのCMがとてもおもしろいと大絶賛している人も大勢います。特にケヴィンがテレビでW杯を見ているシーン。テレビ画面左上の得点表示が Cuth 1 – 0 Col となっています。これが、高級スーパー M&Sへの当て擦りになっているのではないかと話題になっているのです。

 

 

昨年のことですが、M&SとAldiの間で訴訟がありました。M&Sはコリン・ザ・キャタピラー (Colin the Caterpillar) という芋虫型のケーキを出しているのですが、Aldiもカスバート・ザ・キャタピラー(Cuthbert the Caterpillar)という同様の芋虫型ケーキを発売し、キャラが似すぎているということでM&Sが訴えたのです。

 

カスバート(左)とコリン

 

実はイギリスのスーパーはどこも芋虫型のケーキを出していて、ウェイトローズがセシル (Cecil)、テスコがカーリー (Curly)、アズダがクライド (Clyde) と名付けて売っています。キャタピラーの頭文字のCに合わせて全部 C で始まる名前なんですね。

 

M&Sが訴えたのはAldiだけ。これはデザインがあまりにも似ていたからだそうです。

 

その後、紛争は法廷外で決着し、和解の内容は公表されていませんが、Aldiはいったん商品を引き上げました。しかし、数か月たってからデザインを変更して再発売。そのときには「Made by Bakers. Approved by Lawyers」という挑発的なキャッチコピーで宣伝していました。

 

 

「Cuth 1 – 0 Col」の表記を見つけた目ざとい視聴者は「あ、これはあの法廷闘争のことを言っているな」とピンときたわけですが、当のAldiは「皆さん、何のことをおっしゃっているのかわかりません」としらばくれています。

 

 

庶民派のAldiがちょっとポッシュなM&Sから一本取ったということで、胸のすく思いをした人も多かったようです。

 

www.thesun.ie

 

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