たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

レストランがケーキ持ち込み料を請求するのは正当か?

 

 

私はアイルランドに来て Corkage (コーキジ) という言葉を初めて知りました。これはワインの持ち込み料のこと。つまり、レストランで食事をするんだけど、お客さんは自分のワインを持ち込むことができるわけです。お気に入りのワインがある人はそれを持っていくこともできるし、お財布にもやさしいかもしれません。そして、レストランの方は持ち込み料をもらうということです。私の記憶では日本円で数百円だったと思います。もちろん、どのレストランでも持ち込めるというわけではなく、持ち込めるレストランの方が少ないと思います。ちなみに、Corkage の Cork はワインのコルクのことです。念のため。

 

今週、アイルランドSNS などでは Cakeage (ケーキジ) が話題になっていました。レストランで何かのお祝いの会食をした場合、自分のケーキを持ち込むことができるかどうかというお話。最近はパーソナライズされたケーキも簡単に注文することができますからね。そういうのを持ち込みたいと。アイリッシュ・タイムズでも記事になっていました。

 

www.irishtimes.com

 

レストラン側としては3つのオプションがあることになります。まず、ケーキの持ち込みを認めない。これは衛生上の問題もありますし、ケーキを切り分けたり、お皿を出したり、洗ったりする手間もあります。そして、おそらくお店のデザートは注文しないでしょうから、売り上げのロスにつながることも考慮しなければなりません。次に、ケーキの持ち込みを認めて Cakeage を請求する。そして、3番目がケーキの無料持ち込みを認める、です。

 

まず、無料でケーキを持ち込んでもいいよ派のレストラン店主の意見をご紹介します。ダブリンのブラックロックで Coal レストランを経営するコリー・コーコランさん。「ウチは近所の人が利用するレストランなので、何かのお祝いにウチの店を選んでくれたことをうれしく思います。そいいうパーティーは、だいたいの場合、ウチの店にこれまで来たことがない人を連れてきてくれるんですよ。だから、新しい顧客を獲得するいい機会となります」

 

ダブリン2のプールベグ・ストリートでVintage Kitchenを経営するショーン・ドラガンさんは、「それほど頻繁にあるわけではないし、ケーキを持ち込むのは大人数のパーティーの場合が多いので、ある種のギブ・アンド・テイクで現在のところは無料持ち込みを認めています。ただ、レストラン経営にかかるモロモロの費用が上昇しているので、今後は方針を変えるかもしれません。自分のところでケーキを焼くような高級レストランでは問題になることは理解できます」

 

メリオン・ロウのヒューゴズもケーキ持ち込み料を請求しません。経営者のジーナ・マーフィーさん「ウチの店でケーキを焼くわけではないので、持ち込んでいただいてもまったくかまいません。ただ、経験からいうと、持ち込まれたケーキは皆さんお食べになりませんね。見て楽しむだけ。ハッピー・バースデーをうたってキャンドルを消したら、ケーキはほとんど残されます」

 

ドネガル県でシェフ/食品コンサルタントとして働くザック・ギャラハーさんは、地域によって違いがあるのではないかと考えています。「大きな都市以外では、まずケーキジを請求されることはありません。町や村のレストランでは常に家族の集まりやお祝いの会が開かれ、レストランも予約しているお客さんの顔をだいたい知っています。そういうところではお祝いのケーキの持ち込みに手数料を請求したりはしませんね」

 

キルデア県の高級ホテルである Kクラブでも無料で持ち込んでもいいそうです。「できれば、持ち込みのケーキはデザートの後で出すということにしていただければうれしいですが」とのこと。

 

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ケーキジを請求するというのはキルケニー県トーマスタウンのバローズ・キープというレストランの共同経営者でソムリエのモーガン・バンダーカマーさん。「レストランもビジネスです。デザートの代わりに持ち込みのケーキをキッチンで切り分けてお出しするのであれば、ワインの持ち込み料と同じではないでしょうか」

 

SNS のコメントなどでは、ケーキジを払っていいよという消費者は多いようです。ジリアン・グラントさん「無料で持ち込んでいいと思っているのが理解できない。パブに行って、自分で持って行ったビールを飲んでいいかと聞いたりするだろうか」。アンソニー・クラークさん「ケーキジの請求は正当だと思います。レストランの主要な収入源は食べ物で、そこに食べ物を持ち込むなら少額の手数料を払うのは当然でしょう」

 

一部のレストランはケーキの持ち込みをすべて断っています。理由はそのケーキが衛生基準を満たしているかどうかわからないからです。ダブリンのあるレストランではこういうケースがあったそうです。8人がランチを予約しました。自宅で焼いたバースデー・ケーキが持ち込まれました。その後、3人が腹痛を起こしたとレストランに連絡がありました。しかし、それはどうやら生クリームのケーキをレストランに来る前に冷蔵庫に入れていなかったことが原因のようでした。

 

アイルランドの食品衛生局によりますと、レストラン以外で作られたケーキを出すことに関する規則は現在ないそうです。

 

今のところ、持ち込みのケーキを許可するかどうか、そしてそれにケーキジを請求するかどうかは、レストラン側の判断によるということのようです。客としては、まずレストランに確認すること。そして、ケーキを持ち込む場合は、生クリームよりもバタークリームを使ったものの方が安全のようです。

 

最後は笑い話ですけれども、作家のアンドレア・マーラさんによりますと、旦那さんの誕生日パーティーにサプライズでケーキを用意していたのだけれど、レストランから家に確認の電話があり、旦那さんが電話に出て、レストラン側がケーキジを払ってくださいねと言ったので、サプライズがサプライズでなくなっちゃったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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