私が最近よく見ている Youtube チャンネルをご紹介するコーナー。第4回です。
まず、「将棋放浪記」。
こちらはプロ棋士の藤森哲也五段のチャンネルです。だいたい将棋ウォーズというオンラインの将棋対戦ソフトウェアを使い、自ら解説しながら持ち時間10分の将棋を指していくという動画です。
私は将棋については駒の動かし方と、最初は角道を開ける、ぐらいのことしか知りませんが、藤森プロの動画はとても楽しめます。自分がいま何を考えているか、相手がどのような手を指してくる可能性があるかなどを、わかりやすく言葉にして説明してくれるのですね。いやもうここで凄いわけですよ。「これは歩で取っちゃいたくなるんですけど、取るとこうなってこうなって金と角の両取りになって不利なんですね」とか言うわけですよ。こっちは「一瞬でそんなことわかるんかーい」となるわけです。
終盤の詰ませ方も凄いです。将棋を知らない者からすると魔法のように相手の王が詰んでしまいます。
藤森五段はおしゃべりがうまいというのもありますが、将棋のスタイルも Youtube 向きなのではないかと思います。とにかく攻撃的なのです。飛車とか角とかすぐに切ってしまいます。見ている方はハラハラしますね。それでも最終的には (だいたい) 勝ってしまうわけです。プロはやっぱりすごいですね。
次は「街録ch-あなたの人生、教えてください-」というチャンネル。「がいろく」と読みます。
こちらはテレビ番組のディレクターをやっていた (「いいとも」のアシスタント・ディレクターとかもやっていたらしい) 三谷さんという人が濃い目の人生を送ってきた人にインタビューする番組。
基本的に外でのインタビュー。インタビューされる人の顔のどアップ。カメラのマイクで録っているいるのでカメラを近づけなければいけないんだと三谷さんはいうんだけど、これはもしかしたらどアップで録るための言い訳かもしれない。
最新の動画ではアレフの上祐史浩さんにインタビューしています。私が初めてみたのは和歌山毒物カレー事件の林眞須美被告のご長男のインタビューでした。普通ではない人生を生きることを余儀なくされた人々や、社会の裏側で生きる人々の話を30分から1時間にわたってじっくり聞くことができます。三谷さんは基本的に聞き役に徹して相手にのびのびと喋らせる手法を採っています。
また、テレビで働いていたときの人脈をいかしてか、芸人さんもよく登場するのですが、こちらも芸人さんがテレビでは見せない素の表情が見れておもしろいです。テレビでは馬鹿なことばかりやっているように見えますが、芸に真剣に向き合う姿勢はすさまじいです。
さて、今回の最後は「山田五郎 オトナの教養講座」。美術評論家でタレントの山田五郎さんのチャンネルです。製作スタッフの和田さんという若い女性が聞き役になって、五郎さんが美術について解説していく動画です。
毎回1人の画家に焦点を合わせて解説が進みます。これまでに登場したのはダヴィンチ、ゴッホ、ドラクロワ、ミュシャ、レンブラント、エトワール、ミケランジェロ、セザンヌなど。やさしい語り口の五郎さんとすっとぼけた和田さんの掛け合いで、画家や名画についてのみならず、その背景にある西洋文化にまで理解が深まります。
やっぱり著作権の関係で最近の画家は取り上げることができないみたい。ただ、先日はスパチャの投げ銭を利用してピカソの絵の管理団体に著作権料を払って動画にしていました。私のように美術についてあまり詳しくない人間にとって、このチャンネルはほんとうにためになります。
一時期、テレビで活躍している芸人さんが大挙して Youtube に押し寄せてきていた感がありましたが、街録chの三谷さんや五郎さんのチャンネルの製作陣など、テレビの制作にかかわっていた人が最近は Youtube に進出してきているようです。