前々から言われていたんですが、アルコール飲料の最低料金が今年中に設定されることになりそうです。健康を害するほど飲んじゃう人は、安いアルコールに頼りがちなんですね。既に実施した国では、アルコール関連の死が減少するなど、大きな効果が出ているようです。アイリッシュタイムズに Q&A形式の記事が出ていたのでざっと翻訳します。
お酒の値段が上がるのか?
Yes and No. 大筋においてはNo。厚生大臣のスティーブン・ドネリーが、アリコール飲料の最低価格の導入に関するメモを今週中に内閣に提出しようとしている。
簡単に言うとどういうこと?
アルコール飲料の最低価格を国が設定するということ。お酒にどれだけアルコールが含まれているかによって決まる。したがって、アルコール分の高い飲料は、高い最低価格になる。
なぜそんなことをするのか?
スーパーや酒屋で売っている安いアルコール飲料が、アルコール関連の病気や死に関係するから。価格の変更はアルコール消費量に大きな影響があるという国際的なデータがある。
安いアルコール飲料の何が問題なのか?
現状では、男性の低リスクの上限である17 基準飲酒量 (スタンダード・ドリンク)/週のアルコール飲料が7.65ユーロで手に入る。女性の11基準飲酒量 (スタンダード・ドリンク)/週の場合は4.95ユーロ。
影響を受けるのは誰か?
安いアルコール飲料を飲む割合が高いヘビー・ドリンカーと若い世代。
具体的には?
アルコール1gあたり10セント。
一般の人にもわかるように言うと?
最低料金が導入されると、最も安いワインはボトルで7.75ユーロ (現在は3.99ユーロ)。700ml のジンやウォッカは20.71ユーロ (現在は13ユーロ)。440ml のビールは1.32ユーロになる。
いつ実施されそう?
政府は12月までに実施すると約束しているが、実際には9月に実施される可能性が高い。
政府は長い間これについて検討してきたのか?
Yes。10年ほど前から検討を続けてきていて、2018年には現在の法律が制定された。そのときに最低料金が導入されなかったのは、北アイルランドと同時に実施した方がよいと考えられたから。しかし、北アイルランドは少なくとも今後2年間は最低料金を導入しないことに決めた。
なぜ北アイルランドが関係あるのか?
現在でもアルコール飲料は北の方が安い。南で最低料金を導入すると価格差がさらに広がる。
アルコール飲料業界はどういっているのか?
強く反対している。最低飲料が導入されると、北との価格差は2倍にもなると警告している。
最低料金は他の国でも導入されているのか?
カナダでは10年以上前に導入されて大きな成果があがった。スコットランドでは2018年5月に導入。導入後1年ほどで、アルコールを直接の原因とする死は21.5%減少したとされる。
アイルランドでもアルコールに関連する死は多いのか?
Yes。推定で毎年2700人がアルコールの飲みすぎで死んでいる。スコットランドと同様の影響があるとすれば、この数字は500人以上減ることになる。
パブのパイントの価格も高くなるのか?
それはないだろう。パブで販売されるアルコール飲料は、既に最低価格よりも高い値段が設定されている。
安い酒の値段が上がれば、アルコール飲料の価格は全体的に上昇するのではないのか?
No。4ユーロのワインが8ユーロになったからといって、8ユーロのワインが12ユーロになるわけではない。実際には4ユーロのワインが消えるだけだろう。
アルコールの販売に関して他に何かある?
今年の初めから、スーパーマーケットのバウチャー・プログラムにアルコール飲料を含めることはできなくなった。またマルチバイ (Multibuy) ディール (6本まとめて買うとさらにお得、みたいなやつ) も禁止。スーパーのお酒売り場は、物理的な衝立で他のエリアから区分けしなければいけなくなった。
バス停、学校から200メートル以内、一部の映画の上映前の酒類の広告は禁止。子供向けイベントでの広告禁止。自動車の運転やレースが含まれるイベントでの広告も近く禁止される予定。