たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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スティーヴン・ドネリー・サムアップ担当大臣

 

 

ティーヴン・ドネリー (Stephen Donnelly) はアイルランド厚生大臣です。コロナ対策の司令塔と言ってもいいでしょう。ウイルスの拡散や患者・死亡者の増加を防ぐために、日夜がんばっておられます。

 

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ドネリー大臣が 1 月 31 日に投稿したツイートがこちら。

 

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 ワクチン確保のニュースを伝えるツイートですが、2月2日の時点でなんと 7000 件の返信が寄せられています。その 9 割は、親指を立てたサムアップの絵文字だけのリプライ。ワクチンがなるべく早く行き渡るのは喜ばしい知らせですもんね。

 

… というのはちょっと違います。

 

実は1月31日のサンデー・インデペンデント紙に次のような記事が掲載されたらしいのです。インデペンデント系の新聞は有料購読しないと読めないので私自身は読んでいませんが、それをフォローアップしたアイリッシュ・タイムズ紙の記事からご紹介します。

 

 

www.irishtimes.com

 

昨年の10月12日、コロナに関する政府の医療専門家チームのトップであるトニー・ホロハン博士が、ダブリンの陽性者数が増えているので、状況を国民に伝える際の言葉に気を付けてほしい、というテキスト・メッセージをドネリー大臣に送っりました (ドネリー大臣はラジオでダブリンの感染の広がりが鈍化していると発言していました)。

 

何日か後、ホロハン博士がもう一度ダブリンの R 値が上昇していることを伝えると、大臣は他に何も書かずにサムアップ絵文字のみを返したとのこと。

 

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さて、問題は仕事のコミュニケーションにおいて、サムアップの絵文字を使うのは適切なのか、ということです。

 

もちろん、絵文字を使うことが絶対にいけないというわけではありませんが、使ってはいけない絵文字はあります。たとえば、野菜・果物系。もっと具体的に言うとナスと桃です。これはだいたい性的な意味に用いられます。また、目がハートマークになって飛び出てるような絵文字も避けた方がよいでしょう。

 

アイリッシュ・タイムズの記事によれば、サムアップの絵文字は、究極の受動攻撃性の表れだとする説があるようです。「黙れ」と明示的に言うことなしに会話を終わらせるための、中指を立てる絵文字を使う勇気のない人のための絵文字であり、礼儀正しく見えることを期待しながら「あっち行け」という意思を伝えるための絵文字であると。

 

もちろん、ドネリー大臣がどういう意図でこの絵文字を使ったのかはわかりません。単に忙しかっただけかもしれないし、絵文字の意味についてあまり詳しくなかったのかもしれない。

 

しかし、仕事の会話、特にあまり喜ばしい知らせを持ってきた人に対してサムアップの絵文字を使うのはちょっと不適切だという印象があったのでしょう。何千人にも及ぶユーザーが悪ふざけでサムアップ絵文字のリプライを送りつけてきたのはその結果だと思います。

 

ロックダウンでみんな暇を持て余していますから、ちょっとした楽しみを国民の皆さんに提供しようという考えで、ドネリー首相はわざとああいうリプライをしたかもしれませんね。

 

記事の中でちょっと面白かったのは、イギリスのデビッド・キャメロン首相 (当時) が、LoL を Lots of Love の略だと素で考えていて、タブロイド紙の編集者を含む何十人もの人に送りまくっていたという事実です。

 

 

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