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ブレグジットで2021年1月1日から何が変わるか

 

 

 

ブレグジット: 1月1日からの変更について知っておくべきこと』というQ&A形式の記事がアイリッシュ・タイムズに掲載されていましたので、要約してみたいと思います。アイルランド国民やアイルランドに住んでいる人にとって、何がどう変わるのか、という観点で書かれた記事です。

 

www.irishtimes.com

 

正確にいいますと、ブレグジットというのは去年の1月に既に発生していて、そこから移行期間が始まったわけです。その移行期間が昨年12月31日に終了しました。これも正確に言いますと、英国/アイルランド時間では12/31の午後11時ですね。欧州中央時間の午前0時ということになります。

 

これが何を意味するかと言いますと、英国はEUの単一市場と関税同盟から離脱したということです。単一市場と関税同盟というのは、モノ、カネ、人、サービスは EU内なら自由に移動できますよという取り決めですね。

 

先ほど書いたように、ブレグジット自体は昨年の1月に終了したわけですが、その時点では企業や消費者に大きな影響は出ていませんでした。実質的に何がどう変わるのかを1年間の移行期間のうちに協議して、昨年末にやっと合意を見たのですね。

 

それでは始めます。

 

 

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アイルランド企業に与える影響は?

 輸入業者にとっても輸出業者にとっても、余分なコストがかかることになる (合意がないまま移行期間を終了したときに比べれば小さなものだけれども)。アイルランドの企業にとって英国市場は今後厳しいものになる可能性がある。たとえば、牛肉の輸出業者は、EU外からの安価な牛肉と競わなければならないとか。

 

商品の配送はこれまでより時間がかかるか?

その可能性はある。新しい通関規則が適用されるので、商品の移動に遅延が発生する可能性がある。また、アイルランドからヨーロッパ大陸諸国に輸送する場合も、イギリスを経由する場合は時間がかかることになるだろう (英国からの物品に対して、フランスの港で新しい管理基準が適用されるので)。EUは英国から入ってくる物品に対して新しい管理手順を直ちに導入し、英国はEUからの物品に対して6か月かけて段階的に管理手順を導入していくとしている。

 

商品の値段はどうなる?

あらたな関税が導入されるのではないというのはグッド・ニュース。しかし、通関に余計なコストがかかるのはまちがいないので、これが商品価格に転嫁される可能性はある。

 

免税店が戻ってくる?

英国との間を移動する際、空港やフェリーで免税店を利用できるようになる。ただし、北アイルランドとの行き来の場合は、特殊な取り決めが適用されるため、免税店は利用できない。

 

オンライン・ショッピングは?

英国からオンラインで商品を購入した場合、EUの消費者の権利は適用されなくなる。つまり、返品する場合に、手数料を課せられる可能性があるということ。また、商品を輸入するときにVATを支払う必要がある。ただし、輸入税は導入されないことが決まった。

 

その他の消費者関連の問題については?

さまざまな小さな問題が発生する可能性があるが、アイルランドと英国は共通旅行区域という取り決めを結んでいるので、英国と他のEU諸国の間で発生しそうな問題の多くを回避できるはず。たとえば、アイルランドのトラック運転手は、アイルランド自動車保険でイギリスを運転できる (他のEU諸国はいろいろ面倒くさい手続きが要るらしい)。ただし、英国の運転免許証でアイルランドで運転している人は、アイルランドの免許証を取る必要があるとか。

 

ということは、共通旅行区域のおかげでさまさまな変更を回避できる?

 そう。アイルランド以外のEU市民は、英国で居住および労働する権利がなくなる。北アイルランドの住民は、アイルランドのパスポートを持っていれば、EUのどこでも住んで働くことができます。

 

ブレグジットに関して盛んに言われた「Level Playing Field」(取引条件の公平性) はどうなった?

 英国の企業が競争上の優位性を獲得することがないように、というEUの要求がいちおう通ったので合意は結ばれた。競争上の優位性とは、たとえばEUの規制より格段にゆるい規制しか英国の企業には課せられないとか、英国政府が英国企業に補助金を与えるとか、いうこと。英国は、EUの基準変更に従う必要はないが、不公正な競争上の優位性があると見なされる場合は、両者ともに異議を申し立てることができる複雑なメカニズムが用意されている。実際にどこまでどう運用されるかについては、今のところはっきりしたことはいえない。

 

漁業については?

 アイルランドの漁船は英国の水域で操業する権利を一部失うことになる。5年半の段階的導入期間のあとでレビューを行うため、まだはっきりしないことも多い。政府は漁業従事者に補償を約束している。

 

銀行業や航空運輸業などのサービスについてはどうか?

 物品に比べて影響ははるかに小さいだろう。英国の銀行はEUで業務を行うのは難しくなるだろう。航空運輸業については新しい取り決めがいくつか導入される。運送業者のルールはいろいろと変わる。まあ、単一市場を作るということ、そしてそこから離脱するということが、どれだけ複雑なものなのかということがわかります。

 

これですべてが終了した?

 ある意味では。今回の離脱の合意には、新しい委員会、手順、紛争解決プロセスなどが含まれている。また、2024年には合意全体を見直すことになっている。合意は達成されたが、ブレグジットはまだまだ続くといってよい。

 

以上です。

 

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