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記憶に残る『ニューヨークの夢』のカバー・バージョン – トップ5

 

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ポーグス/カースティー・マコールの『ニューヨークの夢』のカバー・バージョンをテーマにして、アイリッシュタイムズに記事が掲載されていました。記憶に残るトップ5を選んでいるのですが、いい意味で記憶に残るものだけとは限りません。

 

www.irishtimes.com

 

記者さんも、ボン・ジョヴィのカバーのあまりのひどさに触発されてこの記事を書いたのでしょう。記事の最初の段落はボン・ジョヴィの悪口です。

 

「このクリスマスは誰にとってもつらいものになっている。しかし、シェーン・マガワンと彼のバンド仲間のポーグスにとってどれほど難しいものなの想像してみてほしい。世界的な衛生上の危機だけでは十分ではないというかのように、彼らの免疫系は、この季節になくてはならない曲となった『ニューヨークの夢』に対するジョン・ボン・ジョヴィの攻撃により、厳しい試練に晒されている。ボン・ジョヴィのカバーを『あまり受けがよくなかった』と表現するのは、ブレグジットを『1つか2つ問題があった』と表現するようなものである」

 

それでは、トップ5の発表です。記者さんは曲ごとに、「心が折れるような惨めさ」(この曲に通底するセンチメント)、「クリスマス・スピリット」(クリスマスの曲ですから)、そして「F ワード」(Fxxk ではなく、歌詞に含まれる Fxggxt です) の 3 つのポイントから評価しています。それぞれかいつまんでご紹介します。

 

第5位。

ジョン・ボン・ジョヴィ師匠。いきなり真打登場ですね。これはもちろん悪い記憶の残り方です。記者さんの評価は5段階で星1つ。

 

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「惨めさ」- 彼の歌声は特に惨めには聞こえない。車の中に電話を忘れたことに気付いて、取りに戻らないといけないとわかったときのような軽い苛立ちしか伝わってこない

 

「クリスマス」- 季節感なし。6月に開かれたBBQ大会で、途中で雨が降り出したのでハンバーガーが生焼けだなあ、と思っている人が歌っているみたい。

 

「F ワード」- F ワードの含まれる節を丸ごと書き換えている。クリスマスを忘れさせるどころか、神の信仰、物理の法則、人類の持って生まれた美質すら疑うことを私たちに求めているかのようだ。

 

第4位。

ローナン・キーティング(元ボーイゾーン)とモイヤ・ブレナン(クラナド)。記者さんの総合評価は星2つだが、割とキーティングに同情的な書き方をしている。このカバーが2000年に発表されたとき、今回のボン・ジョヴィと同じくらい人々をがっかりさせたと私は記憶しているんだけど、記者さんによれば、2000年という早い時期にこの曲をカバーしようとしたこと自体が批判が盛り上がった要因の1つだろうと。もうその当時から不朽の名曲ですからね。皆さんもぽっと出のあんちゃんはすっこんでろ、ぐらいに思ったのでしょう。

 

キーティングはボーイバンドのアイドルからソフトロックの男性ヴォーカリストへと変貌しようと企てていた頃で、こういう甘い曲になるのは想像がついただろう。トレント・レズナー (インダストリアル・ロックのナイン・インチ・ネイルズの中心人物) をプロデューサーに迎えるとでも思ったのか、と。

 

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「惨めさ」- キーティングの失敗は、シェーン・マガワンのように歌おうとするトム・ウェイツのように歌おうとしたこと。

 

「クリスマス」- ある程度のクリスマス感があることは認める。しかし、それは、愛する人々に囲まれて七面鳥のディナーを一緒に食べるようなクリスマスではなく、行きたくない会社のクリスマス・パーティーに無理やり出席させられたようなクリスマスである。

 

「F ワード」- キーティングは、この曲の歌詞を書き換えたことで批判された最初のアーチストの1人でもあった。

 

第3位

アイルランドのシンガー・ソング・ライター、ガヴィン・ジェームズ

 

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「惨めさ」- 「Ittt waaaas… Christmassss… evveeeeee, baaaabe… iiiiiiiin… the druuuuuunk taannnnk」とすべての音節をいちいち伸ばして歌い出したのは、確かに惨めに感じた。よいニュースは、これが最後まで続くのではないこと。しかし、残ったのは完全に無害な歌。ガヴィン・ジェームズは人生に打ちのめされたようにはまったく聞こえない。それこそがこの曲の神髄ではないのか。

 

「クリスマス」- 2016年のリリース。ボン・ジョヴィのように聴いている人を地獄の底に引きずり込むようなことはなかったが、オリジナルが醸す哀愁には程遠い。悪夢をもたらすようなものでもないが、存在する意味もない。

 

「F ワード」- オリジナルどおりに歌ってます。

 

第2位。

アメリカのシンガーのアマンダ・パーマー(元ドレスデン・ドールズ)とオーストラリアの女優/シンガー・ソング・ライターのケイト・ミラー=ハイドキ。珍しく女性同士のデュエット。総合評価は星3つ。このバージョンは初めて聞きました。記者さんによると、この曲は「ゴス・ロカビリー哀歌」に仕上がっている。

 

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「惨めさ」- オリジナルの酔っぱらったアンニュイ感を破り捨て、最初から最後まで憤怒に満ちたバージョンとなっている。2匹のワニがけんかしているよう。

 

「クリスマス」- 皆さんのいつものクリスマスがどのようなものかはわかりませんが、パーマーの『ニューヨークの夢』に吹き渡る遂行的不安に満ちたものでないことを祈ります。

 

「F ワード」- あたりを業火で焼き付くすために旧神(エルダー・ゴッド)を召喚するかのような勢いで、「fxggxt」と叫んでいる。

 

第1位。

さて、堂々の第1位に輝いたのは、クリスティ・ムーア。1991年のライブ盤から。ユーモラスな語りを交えながらの演奏。評価は星4つ。まあ、アイルランドにいるとクリスティ・ムーアの悪口は言いにくいとは思う。

 

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「惨めさ」- オリジナルの根底にある無念さ/後悔の気持ちを残しながらも、いたずらっぽさやオプティミズムが加えられている。

 

「クリスマス」- クリスマス感は少しある。クリスマス・ツリーのライトの位置を調節するときや、クリスマス・セーターが去年よりきつく感じるのはなぜかと思い悩むときに最適な曲。

 

「F ワード」-  1991年の録音なので、歌詞はそのまま歌ってます。

 

以上です。

 

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