今回から何回かにわけて、私が集めたアイリッシュ・ウイスキーのミニチュア・ボトルをご紹介したいと思います。特にオークションで古いボトルを購入したりはしていないので、すべてここ5年間くらいで買い集めたものになります。しばし、お付き合いください。
今回は、大手メーカーのボトルを集めてみました。
まず、こちら。アイリッシュ・ディスティラーズ社の定番商品セットです。左からパワーズ、ジェムソン、そしてパディーが 2 本。左側の3本は 70ml 入り。コンビニでよく売られているのはこのサイズのボトルです。右端のハディーのボトルは、一昔前のものかなと思います。
続きまして、ブッシュミルズとタラモア・デューです。ビッシュミルズは現在、メキシコのテキーラ大手であるホセ・クエルボが親会社、タラモア・デューではスコッチ・ウイスキーのウイリアム・グラントが親会社です。グラント社は、2014年にタラモア・デューの発祥の地であるタラモア (Tullamore)に蒸留所を作りました。60年ぶりにタラモアの街に蒸留所が戻ってきたわけです。
ここからの3点はいずれもダブリンの旧ジェムソン蒸留所のショップで購入したものです。
まず、ジェムソン各種詰め合わせ。左から、ジェムソン・アイリッシュ・ウイスキー(定番)、ジェムソン・カスクメート、ジェムソン・ブラックバレル、ジェムソン・クレステッドです。
続きまして、シングル・ポット・スティルの詰め合わせです。シングル・ポット・スティルというのは、発芽した大麦 (モルティッド) と未発芽の大麦を配合したものを原料とするウイスキーです (多くのウイスキーでは未発芽の大麦は使用しません)。
アイリッシュ・ウイスキーの特徴は何か、と問われたとき、蒸留を 3 回行うこと、というのが一般的には正解とされています。しかし、最近では、「それって、単なるマーケティング上の売り文句にすぎないよね」という人たちが出てきています。
一時期、アイリッシュ・ウイスキーの衰退期に、蒸留所がミドルトンとブッシュミルズにしかない時期がしばらくありました。両方とも蒸留を3回行っていますので、「アイリッシュ・ウイスキーは3回蒸留」は嘘ではありませんでした。ライバルであるスコッチ・ウイスキーの煙たさに対抗して、3回蒸留の滑らかさというのはキャラを立てると言う意味で有効だったかもしれません。
しかし、19世紀後半にアイリッシュ・ウイスキーが世界を席巻していた頃は、発芽した大麦と未発芽の大麦を配合した原料を使うことこそが、アイリッシュ・ウイスキーならではの特徴だったのです。だから、「3回蒸留はマーケティング上の売り文句」派の人々は、シングル・ポット・スティルこそがアイリッシュ・ウイスキーの神髄だと主張しているのです。
ただ、シングル・ポット・スティルは、種類がそんなに多くないんですよね。特に昔から継続して作られているものは、1つか2つくらいじゃないかな。ちなみに、シングル・ポット・スティルは、以前はピュア・ポット・スティルとも呼ばれていました。アメリカで「ピュア」という言葉を使うのは消費者に誤解を与えるからダメだ、ということで、シングル・ポット・スティルに統一したみたいです。
前置きが長くなりました。左から、レッドブレスト、パワーズ、ミドルトン、グリーンスポットです。
今回の最後は、レッドブレストの詰め合わせです。レッドブレストもシングル・ポット・スティルです。もともとは、ジェムソンから原酒の供給を受けたギルビーズという酒類卸売業者が熟成などを行って販売していたものですが、1985年にアイリッシュ・ディスティラーズに譲渡されました。レッドブレストには、12年、12年カスク・ストレングス、15年、21年、ルスタウ・エディション、27年の6種類があるのですが、その中の3種類です。
今回は以上です。