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イタリア ’90 展 - リトル・ミュージアム・オブ・ダブリン

イタリア ’90 展をやっているというので、リトル・ミュージアム・オブ・ダブリンに久しぶりに行ってきました。

 

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「イタリア ’90」というのは、1990年に開催されたサッカーW杯のイタリア大会のことです。アイルランドはこの大会で初めて本大会に出場を果たし、グループリーグは3試合連続引き分けで決勝トーナメントに進み、1回戦のルーマニア戦でも引き分けのあとPKで勝ち抜け。ベスト8ではイタリアのスキラッチに点を取られて敗退するわけですが、ここまで勝ち残るとはだれも思っていなかったので、アイルランド国内は大騒ぎだったようです。

 

イタリア ’90から30年が経ち、当時の監督だったジャック・チャールトン氏は先月お亡くなりになったばかりです。

 

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入場料は10ユーロ。熱を測るために赤外線センサーを額に向けられました。初めての体験。ガイドツアーもあるにはあるのですが、頻繁に行われるわけではないので、ガイドツアーがいい人は事前に確認してください。

 

名前のとおり小さなミュージアムですが、部屋ごとにテーマに沿った展示がされており、たっぷり時間をかけて楽しむことができます。

 

1階の部屋にある最初の展示は「The Golden Age of Dublin」。1790年頃のダブリンの建物を描いた版画が展示されています。これは、ジェームズ・マルドンというイギリス人の画家によるもの。大英帝国第二の都市として隆盛を誇ったダブリンの当時の様子が伝わってきます。マルドンの名前は知らなくても、彼の作品はどこかでご覧になったことがあるかもです。

 

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2階に上がると、ダブリンの風俗に関するグッズやポスターを集めた部屋があります。この部屋の中に入って雰囲気を味わうだけでも楽しいですし、時間を忘れてひとつひとつ詳細に見ていくのも乙なものです。

 

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ミセス・ブラウンやロス・オキャロル=ケリーといった、割と新しいキャラクターの像もありますね。

 

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それから、その隣は、おそらく独立運動に関する部屋だと思います。

 

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さて、3Fは 4 つのセクションに分かれています。まず U2の部屋。U2に関連するメモラビリアが展示されています。ミュージアムという澄ました名前ながら、大量のグッズが所狭しとやんちゃに並べられているのは嫌いではありません。

 

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そして、今回の目玉のイタリア’90の部屋です。

 

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イタリア’90のアイルランド代表の出身地がパネルになっていたんですが、これを見てみると、アイルランド出身者は思ったより少ないですね。3分の1ぐらいでしょうか。祖父母の1人がアイルランド出身ならアイルランドの国籍が取得できますから、そういう人はイギリスにはいっぱいいます。それで、チャールトンがスカウトしてきてアイルランド代表に入れたんですよね。

 

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テレビの中に入って一緒に応援しているところの写真を撮れますよ、という企画。こういう SNS 用の展示は最近は必須ですね。

 

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それから、おもしろいのは、エーモン・ダンフィーがスタジオで放り投げたと言われるボールペン (またはそれによく似たもの) が展示されていたことです。

 

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エーモン・ダンフィーというのはアイルランドのサッカー解説者で、毒舌かつ頑固で有名な人なのですが、この人はジャック・チャールトンの戦術 (いわゆる放り込みサッカー) が大嫌いでした。それで、エジプトと引き分けた試合の生解説で、「こんなサッカーをするならアイルランド人であることを誇りに思わない」と言ってボールペンを放り投げたという有名な逸話があって、それにちなむ展示です。(実際には、「アイルランド人であることを誇りに思わない」とまでは言ってなかったそうです)。

 

それから、アイリッシュ・タイムズ紙の編集室を再現する部屋もありました。

 

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フラン・オブライエンという作家がいて、日本でも何冊か翻訳が出ています。この人は長い間アイリッシュ・タイムズにコラムを書いていました。そこで、海外で出版された彼の小説を集めた本棚もありました。日本語の本も見えますね。

 

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最後は、部屋ともいえない狭くて細長い空間に映画のポスターが何枚か貼ってある展示。うっかりすると見逃してしまいそうです。これは、アイルランドで検閲を受けた映画のポスターを集めた展示です。上映されなかったものもありますし、ポスターを改変しなければならなかったものも含まれます。

 

たとえば、この『無頼の谷』(Rancho Notorious) という映画のポスター。左がアイルランドのポスターで右がオリジナルのポスターです。オリジナル版は女優さんが扇情的な赤い服を着ていますが、アイルランド版では緑のドレスを着せられています。

 

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この女優さんはマレーネ・ディートリヒ。当時50歳前後で、孫が生まれたばかり。おばあちゃんがこんなはしたない恰好をしているのはいかがなものか、ということで、検閲されたとかされないとか。

 

その他の映画もメモしてきたので書いておきますと、『暗黒街の女』(Party Girl)、『The Smashing Bird I Used to Know』、『Dublin Nightmare』、『How to Succeed in Business Without Really Trying』、『Professor Tim』、『The River's Edge』、『Too Bad She’s Bad』でした。

 

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イタリア ’90 展は10月1日まで。

 

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