オークションで昔のホウロウ看板やポスターを買い始めた時に、やっぱりとっかかりとして興味をひかれたのはギネス・ビールのものです。
ウイスキーに興味が移る前はいろいろ買ったのですが、いや、なんでこれ買ったのかなー、とか、これにこの値段はないな、という失敗もしました。もちろんすごく気に入っているものもあります。
おいおいご紹介していきたいと思いますが、今日はまず小物ということで、ギネスのトレイを集めてみました。
ギネスの広告というと、動物を戯画化したユーモラスなものが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。こちらのトレイもそうしたデザインの1つです。これは、ジョン・ギルロイというイギリス人アーチストの作品です。
1898年生まれのギルロイは1925年に広告会社のSHベンソン社に入社します。1928年にベンソンがギネスの広告代理店としての契約を勝ち取ったので、ギルロイにこの仕事が回ってきたわけです。
現在でも、アイルランドのさまざまなパブで彼のデザインを見ることができます。
次はこちら。これも画風からいってギルロイのデザインだと思います。
ネイティブ・インディアンの男が何人もが乗ったボートを片手で持ち上げています。もう1つのギネスの有名なモチーフとして、「ギネスを飲むと力がでるよ」(Guinness for Strength) というのがありまが、このデザインもその1つ。今で言えば、レッドブルを飲むと羽根が生えるよ、みたいなものでしょうか。
テキストに「Him Strong!」とあって、「彼、強い」みたいな片言の英語になっています。いまだとポリコレ的に文句言う人がいそうだな、と思います。
次はこちら。これは、もう少し新しいもので、60~70年代のものではないかと思います。
赤と黒と対比が印象的です。赤地にギネスのグラスをフィーチャーした図柄は、最近復活してパブのサインなどにも使用されていました。
それからこちら。これも赤字にギネス・グラスのデザインですから、すぐ上のものと同じ時期のものかもしれません。個人的にはこれはすぐ上のトレイに比べるとインパクトに欠けるかな、という気がします。
それからこちらのデザインですが、これはギネスにしては毛色の変わったデザインのように私には思えます。
男女のモデルさんがギネスをおいしそうに飲むデザインなんですが、モデルさんが割と年配、しかも上品・裕福そうに見えます。そういった層にギネスを売り込もうという意図があったのかもしれません。構図やレタリングはやっぱりかっこういいですね。
ここまでご紹介したトレイは、すべて別々にイギリスからeBayで購入したものです。なので記録が残っていないのですが、郵送料を含めてそれぞれ50~60ユーロぐらいではなかったかと記憶しています。
そして、最後です。これは、何かの看板を買ったときにおまけで付いてきたもの。そんなに古いものではありません。
このトレイの素材は金属ではなくてプラスチック。デザイン的にはあまりおもしろくありません。あと30年くらいすれば味が出てくるのかもしれません。ただ実用的には縁が高くてグラスが落ちにくいし、金属のトレイのようにデコボコになったりしないし、おそらく製作費も安価という長所があるのだと思います。