たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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エリックを探して Looking for Eric

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ライトハウスシネマでエリック・カントナが共同製作・出演した「Looking for Eric」を観た。楽しみにしていたので、初日の昼間、最初の回に行ってしまった。さすがにこの辺は自宅警備員的ひきこもり系自営業の面目躍如というところでしょうか。

IFI の bi-monthly プログラムに載っていた映画評を翻訳します。

***映画評ここから***
英国のベテラン映画監督であるケン・ローチが、元マンチェスター・ユナイテッドのエリック・カントナとチームを組んだ。出来上がった映画は、同監督が 50 年を超える映画製作のキャリアで追い続けてきた厳しい現代社会というテーマに、少しのファンタジーとたくさんの笑いを盛り込んだほのぼの系コメディーだ。

ローチの映画であるからには、コメディーやファンタジーと言っても熱いリアリズムが犠牲になるわけではない。エリック・ビショップ(演じるのはスティーブ・エベッツ)は途方に暮れたマンチェスターの郵便局員。反抗的な 2 人の義理の息子をひとりで育て、公共料金の支払いにも困窮し、何年も前に彼の元を去った妻のことをいまだに忘れられない。エリックが機能不全に陥ろうとするそのとき、彼のヒーローであるエリック・カントナが姿を現す。議論を巻き起こしてきたこのフランス人は、前向きに考え、人生を整理し、楽しく世話好きの同僚たちの存在に感謝するようにエリックを勇気付ける。気の好い郵便局員たちを演じるのは、マンチェスターを活動の拠点とする俳優やコメディアンたちだ。

1996 年の「カルラの歌」以来ローチ作品の脚本を手掛けているポール・ラバーティーは、この都会のおとぎ話の幻想的な要素が、映画の主題を阻害しないように細心の注意を払っている。この映画の主題とは、すなわち成長することの難しさと、職場であろうがフットボール場であろうが緩慢に侵食されていく労働者階級の男性の一体感である。これまでのローチの映画と同様に、過去へのかすかなノスタルジーも散りばめられ、現代の雇用構造を含む社会の変化がエリックの危機の原因として描かれる。しかし、この男の人生のカオスに対してこの映画が向ける眼は、常に鋭く、ときに感動的だ。カントナは禅のような存在感を示し、映画の全体的な印象は希望に満ち、示唆に富み、ユーモアに溢れている。
(原文: Dave Calhoun)